罹患率は1.8~2.2%とされ、男性より女性のほうが約2倍の発症率となっています。日常生活でストレスをため込みやすい状況が続くと、満員電車や人が混雑した閉鎖的空間にさらされることで、漠然とした不安や空間の圧迫を感じ「このまま死んでしまうのでは」といった混乱に陥りうずくまり、救急搬送、受診につながるケースがほとんどです。概ね緊急の処置が必要なことはなく、しばらく安静にしていれば症状は落ち着きます。
当初は強い不安発作が起きることが重視されていましたが、その後、発作に対する不安や心配に悩まされて日常生活に支障をきたす、慢性の病態であることが認識されるようになりました。しかし、一般の身体科では、検査で異常が発見されることもないので、「疲れや気のせい」といったくくりで考えられてしまうことも少なくありません。また患者様としても色々な身体の症状の出現のために、精神科を受診しようというより、心筋梗塞や脳梗塞等に病気の精査を一番に考えられるかたが大半ではないでしょうか。
パニック障害の問題は発作も苦しいものですが、また発作が起きるのではないか、という「予期不安」から身体が身構えて症状が出現するという悪循環になることです。また、恐ろしい症状が起きないような生活をしようとすること「不安からの回避」によって日常生活に制限が生じてくることも問題です。発作を恐れて外出を避け引きこもりの生活になる場合や、発作が起きた時に助けてもらえないのも困るために、逆に一人で家にいることができなくなるかたもいます。さらに心理的な負担から、うつ病を併発したりアルコールや薬物に依存するようになると、自殺念慮が出現するケースもあります。
いつ発作がおこるかわからないのでいつも発作に対する心配がつきまとうようになると、精神的・肉体的なエネルギーを消耗してしまい、些細な緊張による身体的な反応をかわすことができなくなってしまいます。疲れている時や寝不足の時は発作を強く感じやすく、また気温などにも影響されることもわかっています。 |